なめ茸は、その独特な味わいと健康効果で多くの人々に愛されています。栄養豊富で様々な健康上の利点を持つこの食材は、ダイエットや便秘改善にも役立ちます。
本記事では、なめ茸の栄養価、健康への効果、そして摂取時の注意点について解説します。
なめ茸の栄養素と健康への効果
「なめたけ」とは、えのき茸を醤油や砂糖を用いて甘辛く調理した食品です。なめたけという名前のきのこの一種かと思われがちですが、実際にはえのき茸を使った醤油ベースの煮物を指す言葉です。
使用される原材料はメーカーにより異なりますが、一般的にはえのきだけ、醤油、糖類(砂糖や水あめ)、食塩などの調味料が主要成分です。
なめ茸に含まれる栄養素
なめたけは、食物繊維、カリウム、ビタミンB群を特に豊富に含む栄養豊かな食品です。加えて、ナトリウム、モリブデン、リン、ナイアシン、パントテン酸、葉酸、ビオチンなど、他にも多くの栄養素が含まれています。
- 食物繊維
- カリウム
- ビタミンB1
食物繊維 | 便秘解消や腸内環境改善に効果 血糖値の上昇を抑制 コレステロール値を下げる |
---|---|
カリウム | 体内の余分なナトリウムを排出し、血圧を下げる むくみや心臓病の予防 細胞機能の維持 |
ビタミンB1 | 糖質の代謝に関与 エネルギーの生成 皮膚や粘膜の健康維持 |
以下は日本食品標準成分表2020年版(八訂)による栄養素一覧です。
- 可食部100g当たり
- 液汁を除いたもの
- ビタミンC: 酸化防止用として添加品あり
食品名 | なめたけ(えのきたけ 味付け瓶詰) |
---|---|
エネルギー(KJ) | 320 |
エネルギー(Kcal) | 76 |
水分(g) | 74.1 |
アミノ酸組成によるたんぱく質(g) | 2.4 |
たんぱく質(g) | 3.6 |
脂肪酸のトリアシルグリセロール当量(g) | (0.2) |
コレステロール(mg) | (0) |
脂質(g) | 0.3 |
利用可能炭水化物(単糖当量)(g) | 10.3 |
利用可能炭水化物(質量計)(g) | 9.9 |
差引き法による利用可能炭水化物(g) | 14.2 |
食物繊維総量(g) | 4.1 |
糖アルコール(g) | 0 |
炭水化物(g) | 16.9 |
有機酸(g) | – |
灰分(g) | 5.1 |
ナトリウム(mg) | 1700 |
カリウム(mg) | 320 |
カルシウム(mg) | 10 |
マグネシウム(mg) | 26 |
リン(mg) | 150 |
鉄(mg) | 0.8 |
亜鉛(mg) | 0.6 |
銅(mg) | 0.08 |
マンガン(mg) | 0.24 |
ヨウ素(μg) | – |
セレン(μg) | 3 |
クロム(μg) | – |
モリブデン(μg) | 6 |
ビタミンA|レチノール(μg) | 0 |
ビタミンA|α-カロテン(μg) | (0) |
ビタミンA|β-カロテン(μg) | 0 |
ビタミンA|β-クリプトキサンチン(μg) | (0) |
ビタミンA|β-カロテン当量(μg) | (0) |
ビタミンA|レチノール活性当量(μg) | (0) |
ビタミンD(μg) | 0.1 |
ビタミンE|α-トコフェロール(mg) | (0) |
ビタミンE|β-トコフェロール(mg) | (0) |
ビタミンE|γ-トコフェロール(mg) | (0) |
ビタミンE|δ-トコフェロール(mg) | (0) |
ビタミンK(μg) | 0 |
ビタミンB1(mg) | 0.26 |
ビタミンB2(mg) | 0.17 |
ナイアシン(mg) | 4.4 |
ナイアシン当量(mg) | 4.9 |
ビタミンB6(mg) | 0.09 |
ビタミンB12(μg) | (0) |
葉酸(μg) | 39 |
パントテン酸(mg) | 1.04 |
ビオチン(μg) | 6.9 |
ビタミンC(μg) | 0 |
アルコール(g) | – |
食塩相当量(g) | 4.3 |
なめ茸の健康効果
なめ茸には疲労回復、生活習慣病予防、便秘解消、免疫力強化、そして適度な塩分補給といった複数の健康効果があります。これらの効果は、なめ茸に含まれるビタミンB群、食物繊維、塩分などの栄養素によるものです。
疲労回復 | なめ茸に豊富に含まれるビタミンB群(ナイアシン、ビタミンB1)は、糖質と脂質の代謝をサポートし、エネルギー生成を促進します。これが疲労の回復に貢献します。 |
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生活習慣病予防 | 食物繊維が豊富ななめ茸は、血糖値の急激な上昇を防ぎ、コレステロールの吸収を低減することで、生活習慣病を予防するのに効果的です。 |
便秘解消 | なめ茸の食物繊維が腸の動きを促し、便秘の解消を助けます。 |
免疫力の強化 | なめ茸に含まれる食物繊維が大腸で善玉菌の増加を促し、免疫力を高める作用があります。 |
塩分補給 | なめ茸は塩分を多く含むため、適量を摂取することで熱中症の予防に繋がりますが、塩分の取り過ぎには注意が必要です。 |
なめ茸のダイエット効果
なめ茸はダイエットにも非常に有効な食品です。以下にその理由を挙げます。
- 低カロリー
- 食物繊維が豊富
- 満腹感を提供
- ビタミンB群が豊富
- 低カロリー
-
なめ茸は大さじ1杯あたり約8kcalという非常に低いカロリーを持ち、食事の総カロリーを抑えるのに役立ちます。
- 食物繊維が豊富
-
腸内環境を改善し、糖の吸収を緩やかにする効果があり、食後の血糖値の急上昇を抑制。これがダイエットに寄与します。
- 満腹感を提供
-
食物繊維の豊富な含有量が消化を遅らせ、長時間の満腹感をもたらし、食べ過ぎを防ぎます。
- ビタミンB群が豊富
-
エネルギー代謝を促進し、食べたものを効率よくエネルギーに変換するのを助け、ダイエットをサポートします。
これらの要素が組み合わさることで、なめ茸はダイエットにおける有効な食品の一つとして推奨されています。ただし、なめ茸の塩分や糖質にも注意が必要です。適度な摂取を心がけることが重要です。
なめ茸の便秘改善効果
なめ茸は便秘改善に効果があるとされています。主な理由は以下の2点です。
- 食物繊維が豊富
- 満腹有用菌の増加有用菌の増加
- 食物繊維が豊富
-
なめ茸には大量の食物繊維が含まれており、この食物繊維が腸内で水分を吸収し膨らむことで、腸のぜん動運動を促進します。その結果、腸内環境が改善され、便通が促進されるのです。
- 有用菌の増加
-
なめ茸の食物繊維は、腸内の有用菌(善玉菌)のエサとなり、これらの菌の増加を助けます。有用菌が増えることで腸内フローラが健康的に保たれ、便秘が改善されます。
便秘改善の効果を最大限に引き出すためには、健康的な食生活の一環として、適度な量を心がけることが推奨されます。
なめ茸と納豆の組み合わせ
最近、なめ茸と納豆の組み合わせが徐々に人気を博し、流行の兆しを見せています。作り方は簡単で、納豆となめ茸を混ぜるだけです。
この組み合わせが注目される理由には、次のような点があります。
- 美味しさと調理の手軽さ
- 栄養バランスの優れた組み合わせ:
- 独特な味わいと食感の調和
- 多様な料理への応用可能性
- 美味しさと調理の手軽さ
-
この組み合わせはただ美味しいだけでなく、簡単に準備できるため、忙しい日の食事にも最適です。
- 栄養バランスの優れた組み合わせ
-
なめ茸はビタミンB群や食物繊維を豊富に含み、納豆はタンパク質やビタミンKを多く含むことから、これらを組み合わせることで、全体としての栄養バランスが格段に向上します。
- 独特な味わいと食感の調和
-
なめ茸のなめらかな食感と納豆のネバネバ感が絶妙にマッチし、特にご飯との相性が抜群です。
- 多様な料理への応用可能性
-
ご飯のトッピング以外にも、パスタやうどん、卵料理など、さまざまな料理に取り入れることができるため、料理のバリエーションが広がります。
栄養的にも味覚的にも優れたなめ茸納豆は、その美味しさと健康への利点から、試してみる価値があります。
なめ茸の適量
美味しくて栄養豊富ななめ茸ですが、塩分については注意が必要です。
健康状態や食生活は個人差があるため、一概に適量を定めるのは難しいです。しかし、厚生労働省が推奨する1日の塩分摂取目標量を参考にすることが望ましいでしょう。
全体の食事からの塩分摂取量も考慮して、おおよそ50~100gが適切な目安かと思います。これは、1日の塩分摂取目標量のだいたい20%に相当します。
なめ茸は1瓶のだいたい300~400gのものが多いです。100gに含まれるナトリウムは1.7g程度なので1瓶を1日で食べてしまうと5.1~6.8gのナトリウムを摂取してしまうことになります。
1日の目標量(生活習慣病の発症予防のために現在の日本人が当面の目標とすべき摂取量)は以下の通りです。
年齢(歳) | ナトリウム 目標量(g)〔食塩相当量〕 | |
---|---|---|
男 | 女 | |
1~2 | 3.0未満 | 3.0未満 |
3~5 | 3.5未満 | 3.5未満 |
6~7 | 4.5未満 | 4.5未満 |
8~9 | 5.0未満 | 5.0未満 |
10~11 | 6.0未満 | 6.0未満 |
12~14 | 7.0未満 | 6.5未満 |
15~17 | 7.5未満 | 6.5未満 |
18~29 | 7.5未満 | 6.5未満 |
30~49 | 7.5未満 | 6.5未満 |
50~64 | 7.5未満 | 6.5未満 |
65~74 | 7.5未満 | 6.5未満 |
75以上 | 7.5未満 | 6.5未満 |
なめ茸の注意点
塩分過多と健康リスク
なめ茸はその美味しさから多くの食卓で楽しまれていますが、高い塩分含有量が問題となる場合があります。
厚生労働省が推奨する1日の塩分摂取量は、男性が8.5g未満、女性が7.5g未満とされていますが、実際には多くの日本人がこれを超える量を摂取しています。これは、高血圧やその他の生活習慣病のリスクを増加させる要因となっています。
特に、糖尿病や高血圧、塩分制限が必要な状態の方、または腎機能の低下が見られる方は摂取に注意が必要です。健康を守るためには、以下のような対策を心がけることが重要です。
- 塩分含有量が低めのなめ茸を選択する。
- 自宅でなめ茸を調理する際は、塩分を控えたレシピを試す。
- 食べる量を適切に管理する。
- カリウムが豊富な野菜や果物と組み合わせて摂取し、塩分の影響を軽減する。
なめ茸は栄養豊富な食材であり、適切に摂取すれば健康維持に役立ちます。塩分の摂取に関するリスクを適切に理解し、バランスの取れた食事の一部として楽しむことが大切です。
糖質管理となめ茸
なめ茸は、きのこ類を醤油、みりん、砂糖などで煮たものです。きのこ類は糖質が低い食材ですが、調味料に糖質が含まれているため、なめ茸の糖質量は種類によって大きく異なります。
なめ茸は、きのこの栄養を効果的に摂取できる便利な食材です。糖質を気にする方でも、以下のポイントに留意することで健康的になめ茸を楽しむことが可能です。
- ご飯と一緒に食べるのではなく、野菜や豆腐と一緒に食べる
- 一度に食べる量を控える
例えば、炭水化物の多いご飯ではなく、野菜や豆腐と合わせて食べることが推奨されます。これにより、食事全体の糖質量を抑えつつ、栄養バランスを改善することができます。
また、一度に摂取する量を適量に制限することも大切です。少量でも満足感を得られるよう、食材の組み合わせに工夫を凝らしましょう。
なめ茸の栄養素と健康への効果まとめ
なめ茸は、そのユニークな食感と味わいだけでなく、ビタミンB群、食物繊維、ミネラルなど、多岐にわたる栄養素を含むことで知られています。
これらの栄養成分は、日々の健康維持はもちろんのこと、ダイエット効果のサポートや便秘改善にも役立つとされています。特に、納豆との組み合わせは、その健康効果をさらに高め、多様な料理法で楽しむことができるため、栄養面でも味わい面でもおすすめです。
しかしながら、なめ茸の摂取には、含まれる塩分にも注意が必要です。特に、日本人の多くが塩分の過剰摂取による健康リスクに直面していることを考えると、なめ茸を摂る際にはその量を適切に管理し、全体の食事バランスを考慮することが重要です。カリウムを多く含む食品との組み合わせにより、これらのリスクを減らしつつなめ茸の健康効果を享受することが推奨されます。
適量を守りながら、バランスの取れた食事の一部としてなめ茸を取り入れることで、その全ての利点を最大限に活用することができるでしょう。