ミネラルは私たちの体にとって重要な役割を持つ5大栄養素の一つです。5大栄養素には炭水化物、脂質、たんぱく質、ビタミン、そしてミネラルが含まれます。
これらは筋肉や血液など体の部分を作ったり、生きていくために必要なエネルギーを生み出したりするために不可欠です。その中でミネラルは人間の臓器や細胞の活動をサポートし、歯や骨の構成にも関与しています。
この記事では、私たちの健康を支えるために食事を通じて摂取する必要がある、人体に不可欠な必須ミネラルに焦点を当てています。
また、日本人の食生活では不足しがちなミネラルや、過剰摂取に注意が必要なミネラルについても触れ、これらのミネラルが果たす役割や不足した場合に現れる可能性のある症状についても詳しく説明していきます。
ミネラルとは?ヒトにとっての必須ミネラルにはどんなものがある?
ミネラルとはそもそもどんなもの?
ミネラルは、地球を構成する自然の成分で、岩石や土の中に見つかる固い物質です。例えば、塩やダイヤモンドもミネラルの一種です。ミネラルはいろいろな形や色があり、植物や動物、私たち人間の体を健康に保つためにも必要なものです。
ミネラルは、一般的な有機物に含まれる4元素である炭素、酸素、窒素、水素以外の元素を総称したもので、別名「無機質」「灰分(かいぶん)」とも呼ばれ、5大栄養素の一つに数えられています。
これらの元素は歯や骨の構成に大きく関与し、体内のさまざまな機能を維持するために必要な栄養素です。体内ではミネラルを生成できないため、食事から摂取する必要があります。
ヒトにとっての必須ミネラルは何種類ある?
「日本人の食事摂取基準(2020年版)」では、摂取が必要なミネラルとして以下の13種類を定めています。
多量ミネラルとして、ナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウム、リンの5つ。微量ミネラルとして鉄、亜鉛、銅、マンガン、ヨウ素、セレン、クロム、モリブデンの8つです。
体内に比較的多く存在し1日の推奨量や目安量が100mg以上のミネラルを主要ミネラル、体内に存在する量が極めて少なく1日の推奨量や目安量が100mg以下のミネラルを微量ミネラルと分類しています。
多量ミネラル5種類 | ナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウム、リン |
---|---|
微量ミネラル8種類 | 鉄、亜鉛、銅、マンガン、ヨウ素、セレン、クロム、モリブデン |
日本の厚生労働省ではこのように定められていますが、国際的にはヒトに必須とされているミネラルとして他にもイオウ(硫黄)、塩素、コバルトなどが認められています。
また、ニッケル、カドミウム、リチウム、ゲルマニウム、臭素、バナジウム、鉛、アルミニウム、フッ素、ホウ素、ヒ素の必要性に関する議論も行われているようです。
そのためか、必須ミネラルは13種類、16種類、30種類といった異なる見解も存在しますが、これはミネラルが人間の健康に与える影響を理解する過程で、新しい発見がなされ続けているためです。
科学と技術の進歩により、これまで重要性があまり認識されていなかったミネラルが人体に必要不可欠であることが明らかになることがあります。これにより、必須ミネラルのリストは時間と共に変化し得るものです。
この記事では、厚生労働省の定める人体に必要とされる13種類の元素に関して、厚生労働省の基準に基づいて紹介します。
体内の調子を整え、様々な機能を維持する必須ミネラル13種類の働きとは?
ミネラルは身体の健康維持に不可欠な要素であり、それぞれが様々な役割を果たしています。
カリウムは筋肉の収縮や神経伝達に必要であり、カルシウムも骨や歯の形成、筋肉の収縮、神経伝達に重要です。鉄は赤血球の形成と酸素運搬を担い、亜鉛は免疫機能や酵素反応に関与します。マグネシウムは骨の健康、神経伝達、筋肉の収縮に必要なミネラルです。
ナトリウムは細胞の正常な機能、神経伝達、水分バランスを維持し、リンは骨や歯の形成、エネルギー代謝、細胞膜の構成に関与します。セレンは抗酸化作用や甲状腺ホルモンの合成、免疫機能に重要であり、マンガンは酵素の活性化、骨の形成、脂質代謝に関与します。
ヨウ素は甲状腺ホルモンの合成に不可欠であり、銅は酵素の活性化や骨や結合組織の形成に関わります。モリブデンは酵素の構成や尿酸代謝に関与し、クロムはインスリンの効果を高め、糖代謝に関与します。
これらのミネラルは、バランスの取れた食事から摂取することが重要であり、健康な生活を送る上で欠かせない要素となります。
以下、それぞれのミネラルの役割について詳しく見ていきます。
5種類の多量ミネラルとその働き
多量ミネラルであるナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウム、リンは、私たちの体の健康と機能を維持する上で不可欠な要素です。これらのミネラルが持つ具体的な役割や、健康的な摂取方法などについて深く掘り下げてみましょう。
ナトリウム
ナトリウムは、人間の体にとって欠かせないミネラルであり、主に塩(塩化ナトリウム)として私たちの食事に含まれています。このミネラルは体内の細胞外液に豊富に存在し、細胞外液の体積や浸透圧を調節する重要な役割を果たしています。
通常、健康な成人においてナトリウムが不足することはめったにありませんが、過剰に摂取すると健康上のリスクが高まることが知られています。具体的には、むくみや口の渇きを引き起こすだけでなく、高血圧や胃がん、食道がんのリスク増加とも関連があります。
最近の日本では、1日あたりのナトリウム摂取量は男性で約11g、女性で約9gの食塩相当量と報告されており、過去に比べて減少傾向にありますが、世界的に見ると依然として高めです。
理想的な1日あたりの摂取量は2g程度とされており、食塩への好みは個人差が大きく、過剰摂取につながりやすい傾向にあります。
野菜や果物などカリウムを豊富に含む食品を積極的に摂取することで、ナトリウムの体外への排泄を促進できます。
カリウム
カリウムは人体に不可欠なミネラルで、主に細胞内で見つかり、体内の浸透圧の調整や神経の興奮性、筋肉の収縮などの重要な役割を担っています。
成人の体内には約120gから200gのカリウムが存在し、これは遊離イオン、リン酸塩、たんぱく質との結合体の形で細胞内に大部分が含まれています。しかし、血液やリンパなどの体液や骨にも少量含まれています。
カリウムの重要な機能の一つに、ナトリウムの排出を助けることによる塩分摂取の調節があります。これにより、塩分の過剰摂取に関連する健康問題のリスクを軽減することができます。
カリウムが不足すると、脱力感や食欲不振、筋無力症、精神障害、不整脈などの症状が発生する可能性があります。それにもかかわらず、体内の調節機構により、カリウムが過剰になることは稀です。
カルシウム
カルシウムは、人体内で最も豊富に存在するミネラルであり、主に骨や歯の形成に不可欠です。成人の体内には約1kgのカルシウムが含まれており、これは主にリン酸カルシウムの形で骨や歯のエナメル質に蓄えられています。
カルシウムは血液や筋肉、神経内にもわずかに存在し、血液の凝固を促進して出血の防止、心筋の収縮を助ける、筋肉の興奮性を調節するといった重要な役割を果たします。
骨格の主要な構成要素であるカルシウムの不足は、骨の正常な成長を妨げ、骨粗鬆症のリスクを高めます。
「日本人の食事摂取基準(2020年版)」によると、成人の推奨カルシウム摂取量は、男性が1日に700mgから800mg、女性が650mgです。しかし、カルシウムを十分に摂取していても、ビタミンDの不足により吸収が悪くなることがありますし、骨への負荷(運動など)が不足すると、その利用効率も低下します。
マグネシウム
マグネシウムは、人体に必須のミネラルであり、リンやカルシウムと共に骨の構成要素として重要な役割を果たしています。
成人の体内には約20g~30gのマグネシウムが存在し、このうち約60%が骨や歯にリン酸マグネシウムや炭酸水素マグネシウムとして含まれています。残りの部分は筋肉や脳、神経組織に分布しており、300種類以上の酵素の活性化に関与することで、筋肉の収縮、神経伝達、体温や血圧の調節など、体内の多様な代謝プロセスを支えています。
マグネシウムの不足は、骨の健康はもちろんのこと、不整脈や虚血性心疾患、高血圧、筋肉のけいれんなど様々な健康問題を引き起こす可能性があります。また、神経過敏や抑うつ感を感じることもあり得ます。
健康な腎機能を持つ人では、体内のマグネシウムが過剰になることは稀で、余分なマグネシウムは通常、腎臓によって効率的に排出されます。
しかし、腎臓に障害がある場合は血液中のマグネシウム濃度が異常に高くなるリスクがあります。通常の食事からマグネシウムを過剰に摂取することはほとんどないものの、サプリメントや特定の薬剤からの摂取が過剰になると、下痢などの副作用が発生することがあります。
リン
リンは、カルシウムに次ぐ人体内で二番目に豊富なミネラルで、成人の体重の約1%を占めています。このミネラルの85%は、骨や歯にリン酸カルシウムやリン酸マグネシウムの形で存在し、骨格の形成と維持に欠かせません。
残りの15%は体内の細胞に存在し、たんぱく質や脂質と結合して細胞膜や核酸の構成要素を形成するほか、エネルギー生成に不可欠な化合物(ATP)の構成成分としても機能します。
リンはまた、細胞のpHバランスや浸透圧の調整にも寄与します。
8種類の微量ミネラルとその働き
微量ミネラルである鉄、亜鉛、銅、マンガン、ヨウ素、セレン、クロム、モリブデンについて、その働きや摂取の注意点などについて詳しく解説していきます。
鉄
鉄は人体に必須のミネラルで、成人の体内には約3gから5g存在し、その70%が赤血球のヘモグロビンや筋肉のミオグロビンに含まれています。
これらは体内で酸素を運搬する役割を担っており、鉄が不足すると酸素供給が不足する状態、すなわち「鉄欠乏性貧血」に陥ることがあります。この状態は集中力の低下、頭痛、食欲不振、筋力低下、疲労感などの症状を引き起こします。
鉄の必要量は性別や生理状態によって異なり、特に女性は月経、妊娠、授乳期によって必要量が変動します。通常の食事では鉄を過剰に摂取することは少ないですが、サプリメントでの過剰摂取は避けるべきです。
鉄には、肉や魚に含まれるヘム鉄と、野菜などに含まれる非ヘム鉄の2種類があり、ヘム鉄の方が体内での吸収率が高いです。
また、非ヘム鉄の吸収を助けるために、動物性タンパク質やビタミンCを同時に摂取することが推奨されます。これにより、鉄の吸収効率を高めることができます。
亜鉛
亜鉛は人間の体にとって重要な必須微量ミネラルで、幅広い生理的機能に関与しています。亜鉛の主な役割には、味覚の維持、タンパク質合成の促進、成長と発達のサポートが含まれます。
亜鉛は口腔内の味蕾を構成する細胞に関わり、味覚を正常に感じるために必要です。また、新しい細胞を作る際にも欠かせず、特に成長期の子どもや胎児、乳幼児にとって重要な栄養素です。
亜鉛は肉類、魚介類、大豆製品、野菜類、子実類など多岐にわたる食品に含まれています。
特に輸入牛モモ、脂身付き豚ロース、若鶏モモ皮つきなどの肉類、カキやウナギかば焼きなどの魚介類、がんもどきやそらまめ、厚揚げなどの大豆製品や野菜類、カシューナッツやアーモンドなどの子実類が亜鉛を豊富に含んでいます。
亜鉛不足は知らず知らずのうちに発生することがあり、健康を維持するためにはバランスの取れた食事を心がけ、亜鉛を含む食品を適切に摂取することが大切です。
銅
銅は私たちの体に不可欠なミネラルの一つであり、その健康への貢献は多岐にわたります。銅は血液の形成に関わり、特にヘモグロビンの合成に必要であるため、貧血予防に役立ちます。
また、銅は骨や血管壁を強化し、細胞内での様々な酵素の活性化に結びついてエネルギー生成、鉄代謝、活性酸素の除去に重要な役割を果たします。これらの働きにより、銅は免疫力の向上にも寄与します。
銅を豊富に含む食品には、魚介類、肉類、豆類があります。特に干しえびや牛の肝臓、きな粉などが銅を多く含んでおり、これらの食品を適切に摂取することで、日々の銅の必要量を満たすことができます。
銅の摂取は、バランスの取れた食事を通じて、適切な量が確保されることが重要です。
マンガン
マンガンは、地球上に広く分布しており、私たちの食事に含まれる重要なミネラルの一つです。このミネラルは、体内の多様な代謝過程に不可欠であり、特に酵素の活性化に必要な役割を担っています。
これにより、マンガンは食品の消化やエネルギーの生成、さらには抗酸化作用をサポートすることで、私たちの健康維持に寄与しています。また、マンガンは骨の形成や糖脂質の合成に関与する結合組織にも含まれており、健康な骨格や組織の構築にも重要です。
成人の体内には約10mgから20mgのマンガンが存在し、この量の約25%が骨に蓄えられています。残りの部分は肝臓、膵臓、脳など、体のさまざまな組織や臓器に分布しています。
ヨウ素
ヨウ素は、私たちの健康維持に欠かせない微量ミネラルであり、特に海洋由来の食品に豊富に含まれています。この栄養素は、体内で主に甲状腺に蓄積され、甲状腺ホルモンの生産に不可欠です。
甲状腺ホルモンは、成長やエネルギー代謝の調節に重要な役割を担っており、私たちの新陳代謝や生殖、成長プロセスに深く関わっています。
ヨウ素が豊富な食品には、海藻や魚介類があります。これらの食品を適切に摂取することで、ヨウ素の必要量を体内に取り入れることができます。
しかしながら、ヨウ素の摂取が不足すると、甲状腺ホルモンの生成が十分に行われず、代謝の低下を招きます。これにより、むくみや疲労感、便秘、体重増加、記憶力の低下などの症状が現れることがあります。
セレン
セレンは、人体にとって欠かせない必須ミネラルの一つであり、特にその抗酸化作用により体内の活性酸素から私たちの体を守る重要な役割を果たしています。
加えて、セレンは甲状腺ホルモンの正常な代謝にも関与しており、甲状腺の健康維持にも必要です。
セレンの適切な摂取量を維持することは重要であり、その不足は筋力の低下や筋肉痛、貧血、爪の白色化、さらには心筋症などの健康問題を引き起こすことがあります。
一方で、セレンを過剰に摂取すると、脱毛や皮膚症状、神経障害、心筋梗塞、呼吸困難などの副作用が生じる可能性があります。
クロム
クロムは、人間の体に必要な微量ミネラルの一つであり、特に糖質、脂質、たんぱく質の代謝に関わり、これらの栄養素からエネルギーを効率よく生成する過程で重要な役割を担います。
また、クロムはインスリンの作用をサポートすることにより、血糖値の調節にも貢献しています。
クロムの健康への効果は、特にインスリンの正常な機能を支えることにあります。インスリンは血糖値を下げるホルモンであり、クロムによってその効果が強化されることで、体内の糖質代謝がスムーズに行われるようになります。この特性は糖尿病患者にとって特に重要であり、クロムの摂取が血糖値の改善に寄与することが期待されています。
モリブデン
モリブデンは、人間の体に必要な微量ミネラルの一つであり、私たちの健康維持において重要な役割を果たします。このミネラルは体内で自ら合成することができないため、食事を通じて摂取する必要があります。
モリブデンは、特に酵素の補酵素として機能し、体内の酵素活動をサポートします。これにより、尿酸の合成やエネルギー代謝など、生体内の重要な化学反応がスムーズに行われるようになります。
参考リンク
ミネラルの1日の推奨摂取量
ミネラルの1日の主な推奨量・目安量・目標量は以下のとおりです。日本人の食事摂取基準(2020年版)より一部抜粋したものです。
18~29歳 | 30歳~49歳 | 50歳~64歳 | ||||
---|---|---|---|---|---|---|
男性 | 女性 | 男性 | 女性 | 男性 | 女性 | |
ナトリウム(目標量) | 7.5g未満 | 6.5g未満 | 7.5g未満 | 6.5g未満 | 7.5g未満 | 6.5g未満 |
カリウム(目安量) | 2500mg | 2000mg | 2500mg | 2000mg | 2500mg | 2000mg |
カルシウム(推奨量) | 800mg | 650mg | 750mg | 650mg | 750mg | 650mg |
マグネシウム(推奨量) | 340mg | 270mg | 370mg | 290mg | 370mg | 290mg |
リン(目安量) | 1000mg | 800mg | 1000mg | 800mg | 1000mg | 800mg |
鉄(推奨量) | 7.5mg | 6.5mg 月経あり 10.5mg | 7.5mg | 6.5mg 月経あり 10.5mg | 7.5mg | 6.5mg 月経あり 11mg |
亜鉛(推奨量) | 11mg | 8mg | 11mg | 8mg | 11mg | 8mg |
銅(推奨量) | 0.9mg | 0.7mg | 0.9mg | 0.7mg | 0.9mg | 0.7mg |
マンガン(目安量) | 4.0mg | 3.5mg | 4.0mg | 3.5mg | 4.0mg | 3.5mg |
ヨウ素(推奨量) | 130µg | 130µg | 130µg | 130µg | 130µg | 130µg |
セレン(推奨量) | 30µg | 25µg | 30µg | 25µg | 30µg | 25µg |
クロム(目安量) | 10µg | 10µg | 10µg | 10µg | 10µg | 10µg |
モリブデン(推奨量) | 30µg | 25µg | 30µg | 25µg | 30µg | 25µg |
不足しがちなミネラルと、過剰摂取に注意が必要なミネラル
ミネラルは健康的な身体機能を維持するために不可欠な要素ですが、カリウム、カルシウム、マグネシウム、鉄、亜鉛などは日本人に不足しがちなミネラルです。
これらのミネラルは、筋肉の正常な収縮や神経伝達、赤血球の形成、免疫機能の維持など、さまざまな生理学的プロセスに必要です。
不足しがちなミネラル
カリウム | 不足すると筋肉の疲労や神経機能の低下が起こります。 |
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カルシウム | 骨や歯の健康に必要であり、不足すると骨粗鬆症のリスクが高まります。 |
マグネシウム | 300以上の酵素反応に関与し、筋肉の機能、神経伝達、血圧の調節に必要です。不足すると疲労感、筋肉のけいれん、不安を感じやすくなることがあります。 |
鉄 | 赤血球の形成に必要で、不足すると貧血を引き起こすことがあります。特に女性やベジタリアンは不足しやすい傾向にあります。 |
亜鉛 | 免疫機能、傷の治癒、味覚の維持に必要で、不足すると免疫力の低下や味覚障害を引き起こす可能性があります。 |
一方で、ナトリウムやリンは日常の食生活において摂取量が過多になりがちなミネラルであり、過剰な摂取は健康上の問題を引き起こす可能性があります。
過剰摂取に注意が必要なミネラル
ナトリウム | 過剰摂取は高血圧や心臓病のリスクを増加させる可能性があります。加工食品や調味料に多く含まれています。 |
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リン | 過剰摂取は骨の健康に影響を与える可能性があります。インスタント食品や加工食品、肉や乳製品に多く含まれています。 |
また、サプリメントを利用してミネラルを補う場合は、他の必須ミネラルについても過剰摂取のリスクがあります。
身体は必要な量のミネラルを必要としていますが、そのバランスは非常に繊細です。適量であれば体の正常な機能を支え、健康を維持するのに役立ちますが、過剰な摂取は体内の他の栄養素とのバランスを崩し、様々な健康問題を引き起こすことがあります。
例えば、カルシウムの過剰摂取は腎結石のリスクを高め、マグネシウムの過剰摂取は下痢や不整脈を引き起こすことがあります。また、鉄の過剰摂取は肝臓へのダメージを引き起こす可能性があります。
サプリメントの使用においては、製品に記載されている推奨される摂取量を守ることが重要です。サプリメントの利用を検討する際は、自身の健康状態や食生活に合わせた適切な使用量を確認することが望ましいです。
役割や症状から見るミネラル
役割から見るミネラル
ミネラルは身体の様々な機能において不可欠な役割を果たしています。どのミネラルがどのような機能を担っているか、その役割毎に見ていきましょう。
骨や歯の形成 | カルシウムとリンは骨や歯の形成に不可欠です。カルシウムは骨の主要な構成要素であり、リンは骨の強度を保つのに重要な役割を果たします。 |
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筋肉や神経の働き | カリウムとマグネシウムは筋肉の収縮や神経の伝達に必要不可欠です。カリウムは神経細胞の興奮性を調節し、マグネシウムは筋肉のリラックスや神経伝達をサポートします。 |
血液の生成 | 鉄と銅は血液中の赤血球やヘモグロビンの生成に関与します。鉄は酸素を運ぶためのヘモグロビンの一部であり、銅は鉄の代謝に必要な酵素の構成要素です。 |
ホルモンの分泌 | ヨウ素は甲状腺ホルモンの合成に不可欠です。甲状腺ホルモンは代謝率や成長に関与し、体温やエネルギー代謝を調節します。 |
エネルギー代謝 | マンガンとクロムはエネルギー代謝に関与します。マンガンはミトコンドリア内でのエネルギー生産に必要な酵素の活性化を促進し、クロムはインスリンの効果を高めて血糖値を調節します。 |
免疫機能 | 亜鉛とセレンは免疫機能をサポートします。亜鉛は免疫細胞の機能を促進し、セレンは抗酸化作用を持ち、炎症や感染から身体を守ります。 |
症状から見る不足が懸念されるミネラル
特定の健康上の症状は、身体内の特定のミネラルが不足していることによって引き起こされる可能性があります。例えば、鉄分が不足すると貧血が発生しやすくなり、マグネシウムやカリウムが不足すると、疲労感や筋肉のけいれんなどの症状が現れることがあります。
下記の表は、各症状と関連する可能性のあるミネラル、およびそのミネラル不足によって引き起こされる他の症状を示しています。
症状 | 関連する可能性のあるミネラル | その他のミネラル不足による症状 |
---|---|---|
骨粗鬆症 | カルシウム、マグネシウム | 骨の脆弱性、成長の遅延 |
貧血 | 鉄、銅 | 呼吸困難、倦怠感 |
疲労感 | マグネシウム、カリウム | 筋力低下、集中力の欠如 |
イライラ | マグネシウム | 睡眠障害、不安感 |
むくみ | マグネシウム、カリウム | 血圧の上昇、心拍数の異常 |
筋肉のけいれん | マグネシウム、カルシウム | 筋肉痛、不随意の筋収縮 |
味覚障害 | 亜鉛 | 免疫機能の低下、皮膚の問題 |
免疫系の異常 | 亜鉛、セレニウム | 甲状腺機能障害、免疫機能の低下 |
発達遅延 | ヨウ素 | 甲状腺腫 |
これらの症状が現れた場合は、医療機関での診察を受け、適切な栄養指導や補給を行うことが重要です。ミネラルは体の様々な機能を支える重要な要素であり、バランス良く摂取することが健康維持には不可欠です。
5大栄養素のひとつミネラルについて詳しく解説!まとめ
この記事では、私たちの健康と生活に不可欠な5大栄養素のひとつであるミネラルに焦点を当て、13種類の必須ミネラルについて詳しく解説しました。
ミネラルは、体の調子を整え、生命維持に欠かせない多くの機能を支える重要な役割を担っています。ナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウム、リンの5種類の多量ミネラルと、鉄、亜鉛、銅、マンガン、ヨウ素、セレン、クロム、モリブデンの8種類の微量ミネラルが人間にとって必須であることを学びました。
また、ミネラルの不足や過剰摂取が引き起こす可能性のある問題にも触れ、健康を維持するためのバランスの取り方を理解しました。役割や症状からミネラルを見ることで、不足が懸念されるミネラルを特定し、その補給方法についても考察しました。
適切なミネラルの摂取は、健康維持のために極めて重要です。この記事が、より健康的な生活を目指す上での一助となり、必須ミネラルの大切さを再認識するきっかけになれば幸いです。